<公式テイスティングノート>
香り: 甘く、フルーティ、レモンの爽快な香り、バターキャラメル、リンゴ
味わい: 甘い、焼き砂糖、ダークチョコレート、バニラ
後口: 永い、口の中が爽やかになるバニラ、ほのかな苦み
<hogshead ホッグスヘッド樽>
バーボン樽を一度解体し、側板を削り、胴回りをやや大きく組み直した寸胴な樽。
バーボン樽は輸出の際にバラバラに解体して運ばれ、組み直す際にサイズを大きくして貯蔵効率を高めるとともに、ウイスキーと樽の接触面積を少なくして木香の影響を弱める工夫から生まれました。250リットルが標準サイズですが、スコッチ用は220リットル~250リットルまであります。スコッチとアイリッシュのほとんどがこのホグスヘッドで熟成されます。ホグスヘッドとは「豚の頭数」の意味で、ウイスキーを詰めた樽の重さが豚を一頭分と同じ程度であることから、豚の数を数えるこの言葉が使われるようになりました。
Caperdonich キャパドニック 2010年11月解体 → 完全に消滅しました。
隣接蒸留所 グレングラント、スペイバーン、グレンロセス、グレンスペイ
世界の市場で販売された最初のシングルモルトであると主張しているグレングラントの人気を実証する証拠として、1898年にグレングラントと同じ性格のスピリッツを製造するためにグレングラント蒸留所の道を挟んで向かい側に蒸留所は設置されました。
しかし、そのタイミングは理想的なものではありませんでした。1890年代のウイスキーブームから一転して、新世紀に入るとそのブームが沈みました。インペリアル蒸留所、ベンリアック蒸留所と同様に、操業を開始して間もなく操業停止となりました。麦芽乾燥塔(キルン)、麦芽製造床(モルティング・フロアー)、熟成庫(ウェアーハウス)は操業を継続しましたが、蒸留器による蒸留作業は停止となりました。1965年ウイスキーブームの再来と、イタリアでグレングラント人気が急に高まり、1967年にオリジナルの蒸留器とは異なる形状の蒸留器を2器増設し、オリジナルの2器に合わせて、4器による製造体制を取りました。
キャパドニックはいつもグレングラントとは異なる性格のものになってきました。軽やかで、花のような芳香がある一方で、道を挟んで向かいにあるグレングラントに比べて青リンゴの新鮮味は少なめで、もっと口に優しい梨、クリーム、新鮮なミントの味わいがあります。この性格は、1967年に増設したオリジナルとは異なる形の蒸留器にたぶん由来するのだろうと考えられますが、しかし、1985年にグレングラントの蒸留器と同じ形状のものを増設したところ、2つの蒸留所のスピリッツの性格が同じものにならなかったことから、単に蒸留器の形が異なることが原因で、スピリッツの性格の違いが生まれるとは言いきれないことがはっきりしました。確かに、微妙な違いではありますが、確かにグレングラントとは性格が異なっています。
閉鎖前の晩年のキャパドニックは、独立瓶詰業者のボトルのリリースしたボトルの数を考慮すると、その生産量は比較的多かったと思われます。製造を続けていた間は、どちらかというと一般的には目立たない、知る人ぞ知るモルトウイスキーでありましたが、今では、「スペイサイドの隠れた宝石」と言われ、その香味を愛する少数の忠実なファンがいます。
キャパドニックは、Chivas Regal のキーモルトでした。
1898年 "グレングラントNo.2" として グレングラント蒸留所 と道を挟んだ向かい側で操業開始。
1902年~1964年 製造停止
1965年 Glenlivet Distilleries Ltd. が名前を Glen Grant No.2からCaperdonich に非公式(便宜上)に変更し、操業再開。
1967年 オリジナルの蒸留器(グレングラントと同型)とは異なる新型の蒸留器2器を増設。合計4器になる。
1971年 名前を Glen Grant No.2 から、Caperdonich に正式に名称変更
1985年 オリジナルの蒸留器(グレングラントと同型)と同型のものを2器増設
2001年 ペルノ・リカールに売却
2002年 閉鎖。隣に工場があった Forsyth's Coppersmith フォーサイス銅製機器製造会社に売却
2011年 建物解体。2器の蒸留器はベルギー Owl Distillery アウル蒸留所へ、もう一つの2器セットは、Falkirk Distillery ファルカーク蒸留所(エジンバラの西40km、ローズバンク蒸留所の東3km)に移設。