SHEEP DIP シープディップ(密造した樽原酒を暗示する言葉)
シープディップは手作業で造られる少量生産の高級ブレンドモルトウイスキーです。スコットランド全域のシングルモルトウイスキーを混和しています。その神秘的に洗練されたブレンドは、活気に満ちています。
この香味豊かでフルーティなブレンドモルトは、蒸留を自らの手で行った企業精神に富んだスコットランド農民に触発された商品です。当時、農業商人の手によって、島々からスペイサイドへ向けて、スコットランドを横断縦断して違法のスピリッツが取引された時代への敬意が込められています。当時は、品質と共同社会の方が徴税官より大切だった時代でした。そして、徴税官の目を逃れるために、Sheep Dip(中身はウイスキー) を詰めた樽を隠した場所を知るわずかの人たちのために、黄金色の液体は樽に抱かれて熟成を続けました。
Sheep Dipとは殺虫剤と殺菌剤を入れた溝の中に羊を入れて、ヒツジハエ、ダニ、シラミを駆除すること。徴税官の目の届かないところに隠した樽原酒を、ウイスキーと呼ばず、シープディップ(羊用の殺虫剤、殺菌剤)と呼んで、隠したことを意味します。
ブレンド製法は、ハイランドとスペイサイドのモルトウイスキーを16種類ブレンドしており、発売開始以来そのレシピは変わっていないと言われています。鼻の香気と麦芽の旨味を備えた溌剌として心を元気づけるブレンドモルトです。
2010年頃に Sheep Dip Islay, 1999 Amoroso Oloroso, 1990 Old Hebridean が発売されました。
現在の主な市場はアメリカで、イアンマックロードのもう一つのブランド Pig's Noseと共に、年間4万ケースを売り上げています。
【歴史】
Sheep Dip は、当初、一人の大地主で酒場の経営者によって1974年頃に自分のパブで出すウイスキーとして瓶詰めされました。
そのパブはウェールズの首都のカーディフの東60km、ブリストルの北20m Oldbury on Severn オールドベリー=オン=セバーンにあって、地元の人の間でそのウイスキーの人気が高まりました。そのことを知った、MJ Dowdeswell & Co Ltd 社が興味を持ち、フォートナム&メイソンなどの高級百貨店に売り込むことに成功し、アメリカ、カナダ、ニュージーランド市場に参入することができました。
オールドベリーの街のパブで出されていたオリジナルのレシピは8年熟成のブレンドモルトウイスキーで、ハイランドとスペイサイドの16 のシングルモルトがブレンドされていました。それは今日まで変わっていません。
ブレンドと瓶詰は、モントローズの George Morton Ltd が行っていましたが、人気の高まりとともに、ブランド権がインバーゴードン社に買収されました。インバーゴードン社は1993年にホワイト&マッカイ社に買収されました。
2005年 Whyte & Mackay 社の Alex Nicol 氏は、自らの会社を立ち上げることを決意し、ファイフに Spencerfield Spirits Company を設立し、ホワイト&マッカイ社を説得して、Sheep dip とその姉妹品と言える Pig’s Nose ブランドを彼に譲らせました。
しかしながら、ホワイト&マッカイのチーフブレンダーの Richard Paterson が Sheep Dip のブレンドを監督し続けました。Spencerfield 社は、注目すべきことに、エジンバラ・ジンのブランドを立ち上げましたが、2016年にイアンマックロード社に買収されることになりました。
1974年 オールドベリー=オン=セバーンのパブで客に提供される。
1993年 ホワイト&マッカイがインバーゴードン社を買収し、Sheep Dip のブランド権もホワイト&マッカイに移転。
2005年 アレックス・ニコルが Sheep Dipのブランド権をホワイト&マッカイから譲渡され、スペンサーフィールド社を立ち上げ。
2016年 イアンマックロード社がスペンサーフィールド社を買収